ロシア語 基本的に複数形しか使わない名詞


口が覚えるロシア語 より

 

 


Семён нóсит мóдные пиджаки и изысканные галстуки.
セミョーンはオシャレなスーツと洗練されたネクタイを身に着けています)

мóдные пиджаки(オシャレなスーツ)と、изысканные галстуки(洗練されたネクタイ)が複数形になっていました。

スーツは英語でも複数形扱いだったのでまあわかるのですが、ネクタイはなぜ複数形なのでしょうか。

なにやら気になったので今日はこの謎を解いてみようと思います。


まずは単語的視点から

最初に考えたのが、「ロシア語ではネクタイも複数形として扱う単語なのではないか?」という切り口です。

日本人の感覚だと単数でも、英語ではメガネとかズボンとか基本複数形じゃないですか。

それと同じ感じで、ロシア語はネクタイを複数形として扱うのではないかと。

理由はわかりませんが、何か大きいベロと小さいベロが2枚ベロベロするから、とか?

 

ベロベロベロベロするから複数形のみ、単数形なし。

 

で、終われれば話は簡単でみんながHappyだったんですけどね。

 

残念ながら辞書を引くと普通に単数形と複数形が出てきてしまいました。




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P27 複数形しかない名詞 より
 

時計 はさみ ズボン 香水 ソリ 選挙 一昼夜
以上の名詞はいずれも、実際いくつあるかにかかわらず必ず複数形を使います



確かに、辞書には時計 はさみ ズボン 香水 ソリ 一昼夜は単数形が載っていませんでした。

「選挙」だけは用法によって単数扱いな場面もあるようで、単数形が載ってましたが、基本は複数形だそうで。

選挙→複数形
大統領選挙→単数形

ゴーグルでも少し調べてみましたが、「ネクタイが基本複数形である」といった旨の情報は見つけられませんでした。



ということで、文の前後関係をエスパーします

もうこうなったら文の解釈の領域になってきますかね。

このセミョーン君は、オシャレなスーツと洗練されたネクタイをたくさん持っていて、会う度にそのコーディネートを披露してくれているのではないでしょうか。

日替わりで彩りを変えるその出で立ちを、複数形で表現していると。

そんな解釈が一番妥当なのではないかと僕は考えるのです。



やっぱり不思議な「複数形」の感覚

それにしてもやっぱりこの外国語の単数形と複数形の線引きはよくわかりませんね。

時計とか、香水とか。

ズボン、はさみ→まあ英語でもそうでしたし、わかる。

時計→わからん。大きい針と小さい針がチクタクするから、とか?

香水→わからん。

こんな「なぜ?なに?不思議!」をたくさん乗り越えて、ロシア語感覚というものを磨いてゆくんでしょうね、人は。

 

わたしもいつか、そうなれる日が来るのでしょうか。

そんな自問自答を続けながら以上、ロシア語には複数形しか存在しない名詞もあるけど今回は関係なかったよ!でした。
 

 

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プーチンさんのアレでロシア界隈は大変なことになっておりますが。

山羊山は、ここで学んだロシア語を平和的かつ洗練された異文化交流のために活用できる日が来ることを切実にお祈りしていますよ。朝晩二回。
 

ロシア語 不可算名詞の注意点



参考図書:
NHK出版 これならわかるロシア語文法



本日はこちらの単語から

обеспечение
(アビスピエーチニエ)

「保障」や「保証」といった意味合いの単語です。

辞書を引いたところ、複数形が載ってなかったんですね。

なぜなのだ?となにやら気になったので調べてみました。


ロシア語文法で困った時はこちらが有用。


NHK出版 これならわかるロシア語文法

 

 


P28 通常単数形を用いる名詞 より


不可算名詞(数えられない名詞)は、通常複数形は用いません


確かに、「保証」とか「保障」は1個2個と数えるものではなさそうですよね。

 

なので不可算名詞という扱いでいいのかも。

さらに不可算名詞は、

1.物質名詞(牛乳、ウォッカ、肉など)
2.集合名詞(若者、家具、国人など)
3.抽象名詞(美しさ、若さ、選択など)

の3つに分類されるとのことです。

 

それでいうと、обеспечениеは「3」の抽象名詞の括りになりますかね。僕の感覚ですけど。


不可算名詞は腑に落ちない時もありますが


家具とか肉とか、数えても良さそうな気はしますけど。

まあ、「え、それ数えられないの?!」なんてのはもう英語の時点で散々出てきたので慣れましたけれどもね。


ロシア語がまたひとつ賢くなったところで以上、辞書に複数形が載っていなかったのは、不可算名詞だから!でした。
 

 

 



プーチンさんのアレでロシア周辺は大変なことになっておりますが。

山羊山は、ここで学んだロシア語を平和的かつ洗練された異文化交流のために活用できる日が来ることを切実にお祈りしていますよ。朝晩二回。

 

ロシア語は語順が柔軟なのです


口が覚えるロシア語 より

 

 


Официальным языкóм России и Беларуси является русский язык.
(ロシアとベラルーシ公用語はロシア語です)

単語の意味
Официальным языкóм(公的な言語:形容詞+名詞 造格)
России и Беларуси(ロシアとベラルーシの:名詞)
является(~である:動詞)
русский язык(ロシア語:名詞主格)

「ロシアとベラルーシ公用語」と文の先頭に来ているのと、日本語訳も「は」と主格になっています。

なのでこれが主語かな?と初見で考えてしまいましたが、格を見ると造格になっています。

造格ってことは、これが主語じゃなさそう?

文を最後まで読んで見れば、案の定「ロシア語」という単語が主格で置いてありました。

 

主語が文末!

以前にも半泣きで記事に書きましたが、この格ってやつがロシア語の柔軟なところであり、やっかいなところでもあります。

 

ロシア語の格は、日本語の「はがをにで」などの助詞と同じように、その単語がどんな役割なのかを示してくれる働きをします。

なので英語などの配置が絶対の孤立言語と違い、語順が比較的柔軟なのです。

柔軟と言えば聞こえはいいですが、それがまあ逆に私達ロシア語学習者を苦しみ悶えさせているわけなのですけれども。



語順を踏まえて和訳!

ということで、語順も踏まえてこの文を和訳するならば、

「ロシアとベラルーシ公用語なんだよ、ロシア語ってやつはね」

という感じになりますでしょうか。



ロシア語のSVCは造格

ちなみに、「ロシアとベラルーシ公用語」の部分が造格なのは、この文が英語で言うSVC構文だからです。

NHK出版 これならわかるロシア語文法
P59 造格の用法より

 

 


「AはBです」「AはBになった」などの「A=B」を表す構文において、Bの部分はロシア語では造格で表すのが基本です。



ということなのです。

語順的にはCVSになってるけど、格で主語と述語と補語がわかるようになっているわけですねー。

英語の5文型に慣れた後だと、語順の柔軟さが余計にとっつき難く感じますが、またひとつお勉強になりました!

 

そんなわけで以上、相変わらずロシア語の格変化はやっかいな上に語順も柔軟でもう死にそう!でした。
 

 

 

 



プーチンさんのアレでロシア界隈は大変なことになっておりますが。

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スペイン語 pasar miedoは「恐怖を過ごす」なのか?


口が覚えるスペイン語 より

 

 


La semana pasada hubo dos terremotos bastante fuertes.
(先週かなり強い地震が2つあったよ)

Pasasteis miedo?
(怖かった?)


Pasasteisは動詞pasarの2人称複数・点過去形。
 

miedoは名詞で「恐怖」とか「恐れ」といった意味になります。

動詞pasarには「通過する」とか「過ぎる」とか「過ごす」といった意味があります。

直訳すると「恐怖を過ごす」みたいになって、何だかスッキリしなかったので少し調べてみました。



miedoが副詞なのかも?

miedoがpasasteisにかかる副詞だったら、意味的にはまあまあスッキリするんです。

pasasteis(君たちは時を過ごした)+ miedo(恐怖な感じで)

でもmiedoを辞書で調べても名詞しかありません。

そもそもmiedoが副詞だったらpasasteisだけで文が成立することになるので、今度は文構造的におかしくなってしまいますね。



miedoが過去分詞的な形容詞なのかも?

動詞の過去分詞が形容詞的に使われることがあります。

そして、僕が重宝しているコトバンクスペイン語辞書では、過去分詞の形で検索してもヒットしないことがあります。
(動詞の不定形で検索しないと出てこない)

今回もそのパターンなのかもと思ったのですが、miedoという過去分詞はありませんでした。

でも連続母音の「ie」とか見ると、「動詞が何らかの変化をしている系か?!」と反応してしまう人は僕だけではないはずです?


結局、「恐怖を過ごす」というのがスペイン語感覚なのでした

tener miedo
(恐怖を持つ→怖い)

といった言い方もするようなので、miedoは名詞で、間違った文というわけでもないようです。

あれこれ悩んでしまいましたが、結局「恐怖を過ごした」→「怖かった」というのがスペイン語の感覚なんですねえ。

日本人の僕にとって違和感のある言い回しですが、慣れていくことにしましょう。



スペイン語感覚つながりでちょっと余談ですが、スペイン語で日光浴のことを「tomar el sol(太陽を食べる)」と言います。

この感覚はすごく好きです。

日本語でもこの言い方をYoutube経由で流行らせてみようかしらなんて狙ってます。

ちょっと想像しただけで腹痛がしたのでやっぱやんないです。
 

判断の速さ大事!そんなわけで以上、違和感あるけどやっぱりこれがスペイン語感覚なのだ!でした。