アラビア語フスハー 名詞文の名詞述語も非限定!



ニューエクスプレスプラス アラビア語より

 

 

 

لاَ هَذِهِ أَوَّلُ مَرَّةٍ
(いいえ、これは初めてです)
(ラー、ハージヒ アウワル マッラティン)

ラクダに乗ったことはありますか?とハサンに尋ねられ、「これが初めてです」と答えるトモーミー。

「初めて」というのは唯一無二なので定冠詞が付きそうなものですが、この例文には定冠詞がついていません。

مَرَّةٍ
(マッラティン

と、非限定を表すタンウィーンがついていました。

これはなぜだ?と不思議に思ったので調べてみました。


いつものように、この謎の斬り口としては2つあります。

1.単語
2.文法

「1」は単語特有の変化。例外変化とかその辺があるかどうかですね。

こんな時はもう「アラジン」で検索するに限ります。

「山羊山xアラビア語」といったらお馴染みのアラビア語単語検索エンジン「アラジン」です。

 

 


مَرَّة
「回」を意味するこの単語を調べてみますが、特に例外的な変化はなさそうです。

単語方面から解決の糸口は見つけられなかったので、今度は「2」の文法方面から攻めてみましょう。

すでにピンと来てる方もいるかもしれませんが、

أَوَّلُ مَرَّةٍ
(アウワル マッラティン)

は、「アウワル(最初)、マッラティン(回)」と名詞が2つ続く文構造になっています。

「アウワル」には定冠詞も不定冠詞もありません。

そして「マッラティン」は属格です。

そうです、これはアイツです!イダーファです!

今まで僕を2度も苦しみ悶えさせてきたイダーファ構文です!
 

yagiyama-lang.hateblo.jp

 

イダーファなんなの!

 

 

yagiyama-lang.hateblo.jp

 

やだなにイダーファ怖い!

 



イダーファのルールおさらい

1.名詞が2つ(以上)続いている
2.先頭の名詞に定冠詞も不定冠詞(タンウィーン)もついていない
3.後続の名詞が属格(語尾がイ/インもしくはア/アン)

ただ、これまでのイダーファ不可思議問題とは違って、今回は上記3つのイダーファの条件を全てクリアしています。

13日だけど木曜日!なのにジェイソンが来た!

みたいに「イダーファが来た!」と反射的に身構えてしまう体質になってしまいましたが、今回はイダーファとはまた別の問題のようです。



アラビア語は情報が少ないので、このまま泥沼にはまってくパターンなのですが…



ここでふと思い出したのが、前回の名詞文の述語ルールです。

 


一般に名詞文の主語は限定名詞で述語は非限定名詞・形容詞である




名詞文とは名詞が主語になった文のことです。

今回の例文では、主語が「ハージヒ(これは)」と指示代名詞になっていたのでうっかりしていましたが、指示代名詞も立派な名詞です。

名詞が主語なので、それにかかる述語が名詞もしくは形容詞の場合は非限定になると。

つまり、「ハージヒ(これは)」という指示代名詞主語に、「アウワル マッラティン(最初、回の)」というイダーファ表現の名詞句が、述語ゆえに非限定で置かれていたというわけだったのですね!スッキリ!


まとめ

1.代名詞も名詞
2.イダーファも名詞(句)
3.名詞文の述語は非限定

一つ一つの文法ルールはものにしたつもりでも、複数が組み合わさると意外と「なんだ?これ?」ってなってしまうのかもしれませんね。

 

むしろそれを狙ってこの例文を組み上げたのでしょうかニューエクスプレスさんは。

 

私のようなゆうぞうむぞうが躓きそうなところにちゃーんとバナナの皮を添えておく気の利きよう。

恐るべしニューエクスプレス+アラビア語

 

 

 



「こんなのもう余裕で知ってるし~」

と思っても、復習とか練習問題とかはしっかり繰り返そうと思いました。

そんなわけで以上、名詞文の述語に置かれる名詞と形容詞は非限定のタンウィーン!でした。